クマ対策の新兵器!ドローンとオオカミの尿(臭い球)で安全に追い払うICT実証実験の全貌

皆さんこんにちは!FDDI事務局です。

近年多発するクマの被害を食い止めるため、長野県などでドローンを活用した画期的な追い払い実験が始動。天敵である「オオカミの尿」を配合した「臭い球」を上空から正確に投下・発射することで、人が近づけない危険なエリアから野生動物を安全かつ効果的に撃退する最新のICT鳥獣害対策として高い注目を集めています。

要約

  • 全長3メートルの大型ドローンで、急斜面や夜間の鬱蒼とした森林など人が入れない危険エリアへ遠隔アプローチが可能。

  • 遺伝子レベルの恐怖を植え付ける「オオカミの尿」を配合した特殊カプセル(臭い球)を上空からピンポイントで精密射撃。

  • 音や光による一時的な威嚇とは異なり、天敵の臭いでクマに「危険地帯」と学習させるため持続的な忌避効果が期待できる。

急増するクマ被害と従来の対策が抱える課題

近年、日本各地で野生のクマ(ツキノワグマやヒグマ)が人里や農地に頻繁に出没し、人的被害や農作物の食害が深刻な社会問題となっています。長野県内の養蜂場でも、防犯カメラにクマが執拗に屋根へ登り、ハチミツが詰まった木箱を荒らす姿が捉えられました。

これまで人里に近づいたクマへの対策としては、ハンターによる銃の利用や、猟犬を用いた追い払い、爆竹の破裂音などが主流でした。しかし、これらの方法には以下のような大きな課題がありました。

  • 人身への高い危険性: クマのテリトリーや藪の中に人が直接入り込んでアプローチする必要があり、鉢合わせによる逆襲のリスクが常に伴う。

  • 出没場所へのアクセス制限: 急斜面や鬱蒼とした森林など、人が足を踏み入れることが困難なエリアでの追い払いが極めて難しい。

  • 学習能力による慣れ: 音による脅しは、クマが「実害がない」と学習すると効果が薄れてしまう。

こうした背景から、人の安全を最優先に確保しつつ、確実かつ心理的な恐怖を与えて二度と近づかせない、先端技術(ICT)を取り入れた非対面型の新たな撃退アプローチが求められていました。

クマ撃退の秘密兵器「全長3メートルの大型ドローン」とは

長野県御嶽山の麓に位置する王滝村の宿泊施設周辺などで、こうした課題を解消するための画期的なICT実証実験がスタートしました。

対策の主軸となるのは、全長約3メートルに及ぶ超大型の産業用ドローンです。このドローンは、強力なペイロード(積載能力)と高い飛行安定性を誇り、上空からのサーマルカメラ(熱源感知カメラ)による夜間や鬱蒼とした森の中のクマの検知と、後述する特殊な「臭い球」の輸送・精密射撃を1機で行うことができます。

人が近づくのが不可能な険しい地形や、危険性の高い夜間の現場であっても、オペレーターは離れた安全な場所から遠隔操作、または自動航行プログラムによってピンポイントでクマの目撃エリアへアローンを急行させることが可能となりました。

天敵の恐怖を植え付ける「オオカミの尿(カプセル球)」の仕組みと効果

この実験が画期的とされる最大の理由は、ただ上空から音や光で威嚇するのではなく、生物の生存本能に訴えかける「嗅覚的アプローチ」を融合させた点にあります。

ドローンには、クマの天敵である「オオカミの尿」などを配合した特殊な液体入りの球(カプセル)を遠隔操作で投下・発射する装置が搭載されています。

【オオカミの尿カプセルによる撃退のメカニズム】
1. ドローンがクマの潜むエリアへ正確にアプローチ
2. 上空から「臭い球」を発射し、地面や樹木に向けて着弾させる
3. カプセルが割れ、野生動物が遺伝子レベルで恐怖を覚える「オオカミの臭い」が周囲に拡散
4. クマに「この場所は天敵の縄張りである」と誤認させ、人里から自主的に退避させる

従来の爆竹などの音は一時的な驚きでしかありませんでしたが、「天敵の排泄物の臭い」は動物にとって強烈な警戒シグナルとなります。そのため、クマに強い嫌悪感と恐怖を植え付け、そのエリア一帯を「危険地帯」として学習させる持続的な効果(忌避効果)が期待されています。

ICTを活用した鳥獣害対策の未来と展望

今回のドローンとバイオ技術(野生動物の行動特性)を掛け合わせた実証実験は、これからの地域社会と野生動物の「棲み分け」を維持するための重要なマイルストーンとなります。

今後、サーマルAIカメラによるクマの自動検知・追跡技術の精度向上や、臭いカプセルの発射精度のブラッシュアップが進めば、自治体や専門家が現地に赴くことなく、通報から数分でドローンが自律飛行して安全にクマを追い払うシステムの構築も夢ではありません。

少子高齢化によって地域の担い手や猟友会員が減少する中、人の命を守りつつ農林水産業への被害を未然に防ぐ「スマート防除・鳥獣害対策」として、長野県のみならず全国の山間地域からの注目が集まっています。

参考記事

おわりに

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