【防衛装備庁】迎撃ドローン早期取得プログラムの実証4機種(QS INTERCEPTOR等)・採用企業(Terra Drone等)まとめ

皆さんこんにちは!FDDI事務局です。

防衛省・防衛装備庁が2026年6月に公募を開始した「迎撃ドローン早期取得プログラム」について、選定スケジュールや実証試験に採択された国内外の4機種と国内企業をわかりやすく解説します。

要約

  • 異例の早期調達:2026年6月の公募から実証試験を経て、8月下旬には量産調達契約を結ぶ超スピード展開。

  • 実証機種と企業:テラドローンの「Terra B1」やQuantum Systemsの「QS INTERCEPTOR」(全日空商事)など4機種を選定。

  • アプローチ:小泉防衛相のSNS発信など、民間の市販・先端技術を迅速に防衛装備へ導入するアジャイル型手法を採用。

「防衛装備庁が迎撃ドローンを公募」異例のスピードで進む早期取得プログラムの全貌

ウクライナ情勢など現代の紛争において、安価な自爆型ドローン(無人航空機:UAV)によるインフラ破壊や軍事攻撃の脅威が急速に高まっています。こうした背景から、日本の防衛省・防衛装備庁は2026年6月5日、自衛隊の駐屯地や基地、海上自衛隊の艦艇を守るための「迎撃ドローン早期取得プログラム」を発表し、大きな注目を集めました。

このプログラムの最大の特徴は、これまでの防衛調達の常識を覆すほどの「超スピード展開」にあります。防衛省がSNSを積極的に活用して民間企業へ広く提案を呼びかけ、選定から調達、さらには量産契約までをわずか数か月間で駆け抜けようとしています。

防衛装備庁「迎撃ドローン早期取得プログラム」の概要と狙い

今回公募されたプログラムは、主にイラン製の「シャヘド」に代表される長距離自爆型ドローンに対処する「迎撃ドローン(インターセプタードローン)」の獲得を目的としています。

スピード感のある実施スケジュール

防衛装備庁が提示した調達スケジュールは以下の通りです。従来の装備品開発・取得には数年単位の歳月が費やされるのが一般的でしたが、本件では夏から秋にかけての一瞬で初期フェーズを進める計画が組まれています。

  • 2026年6月5日公募開始(提案の締め切りは6月29日)

  • 2026年7月15日実証試験を行う供試器材(選定機種)の決定

  • 2026年7月下旬〜8月上旬自衛隊での実証試験の実施(海上自衛隊主導)

  • 2026年8月下旬実証結果に基づき、運用可能と判断されれば量産調達契約を締結(9月納入目途)

実証試験に選ばれた4つの機種と採用企業

2026年7月15日、防衛装備庁は公募された提案の中から、実際に海上自衛隊などでテストを行う4つの実証機種と、その国内パートナー企業を発表しました。今回の公募では、国内外の有力なドローン企業が手を挙げ、バラエティに富んだ機種がノミネートされています。

区分(タイプ) 迎撃ドローン機種名 製造企業(国) 国内契約相手方
タイプ1 BVQ404 Beyond Vision(ポルトガル) エアモビリティ株式会社
タイプ2 QS INTERCEPTOR Quantum Systems(ドイツ) 全日空商事株式会社
タイプ3 Terra B1 Terra Drone(日本) Terra Drone株式会社
タイプ4 IonStrike DZYNE Technologies(アメリカ) 日本海洋株式会社

国内の注目プレイヤー:テラドローン(Terra Drone)

日本のドローンサービス大手であるテラドローンは、自社が開発・提供する国産迎撃ドローン「Terra B1(テラ ビーワン)」が実証機種に採択されました。テラドローンはかねてよりウクライナで実運用が開始されている固定翼型迎撃ドローン「Terra A2」などの知見を有しており、日本国内における迎撃ドローンの量産体制(国産・国内生産基盤)の構築を見据えて本実証に挑みます。

海外の先端技術を取り込む国内代理店

ドイツのドローン大手Quantum Systems社が手掛ける「QS INTERCEPTOR」のテストに向けては全日空商事が、アメリカのDZYNE Technologies社の「IonStrike」に向けては日本海洋がそれぞれパートナー企業となり、防衛装備庁との実証試験を担います。

各区分の概要と解説

1. タイプ1:BVQ404

  • 機種名: BVQ404

  • 製造企業(国): Beyond Vision(ポルトガル)

  • 国内契約相手方: エアモビリティ株式会社

【解説】

タイプ1として採択された「BVQ404」は、ポルトガルのドローン開発企業 Beyond Vision 社が手掛ける迎撃ドローンです。日本国内での展開および公募の提案は、海外製エアモビリティやドローンの輸入販売プラットフォームを構築しているエアモビリティ株式会社が担っています。

タイプ1の主な要件は「機能拡張を伴わずに、単一の管制装置(GCS)から複数機の同時管理・目標割り当て(スウォーム・マルチドローン運用)が可能であること」とされています。BVQ404は、複数の自爆型ドローンが同時に侵入してきた際に、単一のオペレーター・システムから複数機を効率的に制御して自動迎撃・無力化する高度な高度分散・協調制御能力が評価されています。

2. タイプ2:QS INTERCEPTOR

  • 機種名: QS INTERCEPTOR(STRILA等)

  • 製造企業(国): Quantum Systems(ドイツ)

  • 国内契約相手方: 全日空商事株式会社

【解説】

タイプ2に選定された「QS INTERCEPTOR」は、ヨーロッパの大手防衛テック企業であるドイツの Quantum Systems(クァンタム・システムズ)社が開発する高速迎撃ドローンです。日本国内の契約相手方には、航空・防衛関連ビジネスで実績を持つ全日空商事株式会社が選定されています。

同社が提供する迎撃ドローン(STRILAシステム等)は、最高速度400km/h超という非常に高い飛翔性能と高高度上昇能力を備え、高額なパトリオットなどの既存対空ミサイルを使わずに低コストで敵ドローンを kinetic(物理衝突)等によって撃墜・迎撃することを目指しています。AIを活用した自律制御プラットフォーム「MOSAIC UXS」との親和性が高く、レーダー連動による早期探知から最終局面での目標自動追尾まで、極めて実戦的な対C-UAS(対無人航空機システム)性能を備えている点が大きな特徴です。

3. タイプ3:Terra B1

  • 機種名: Terra B1

  • 製造企業(国): Terra Drone(日本)

  • 国内契約相手方: Terra Drone株式会社(テラドローン)

【解説】

タイプ3として採択された「Terra B1」は、日本のドローン分野におけるリーディングカンパニーである Terra Drone(テラドローン)株式会社が自社開発した国産の迎撃ドローンです。

タイプ3の最大の焦点は「国内での生産基盤整備・国産化を見据えた要件」を満たすことにあります。安全保障上の観点からサプライチェーンのリスクを低減し、日本国内で調達・製造・維持整備が完結できる防衛体制を構築するための「国産メイン機」として位置付けられています。実証試験を通じて基地・艦艇等の防護性能を評価し、将来的な本格量産・自衛隊配備に向けた技術的検証が行われます。

4. タイプ4:IonStrike

  • 機種名: IonStrike

  • 製造企業(国): DZYNE Technologies(アメリカ)

  • 国内契約相手方: 日本海洋株式会社

【解説】

タイプ4の「IonStrike」は、AIを活用した自律型無人航空システムや対ドローン(C-UAS)ソリューションを米軍等に提供するアメリカの DZYNE Technologies 社が手掛ける自律型迎撃ドローンです。日本国内では防衛機器・海洋調査機器の商社である日本海洋株式会社が導入および運用サポートを担当します。

IonStrikeは、最新のAIビジョンおよび自律飛行アルゴリズムを搭載しており、電波妨害(ジャミング)などの電子戦(EW)環境下においても、自律的に侵入目標を認識・追尾して無力化する高度な自律性を強みとしています。実戦経験・技術的蓄積の豊富な米国防総省サプライチェーン由来のシステムであり、最先端のAI自律迎撃技術の実証・評価を目的として採用されています。

なぜこれほど盛り上がっているのか?異例づくしの防衛調達

本公募がニュースやSNSで大きなトレンドとなった理由は、防衛省が取った「オープンでダイレクトなアプローチ」にあります。

1. 防衛大臣自らがX(旧Twitter)で拡散

小泉進次郎防衛相が自身の公式Xアカウントにおいて、本プログラムの立ち上げと民間企業からの提案募集をダイレクトに投稿・拡散しました。これまで秘密裏に、あるいは限られた大手重工メーカーとの間だけで進められるイメージが強かった防衛調達において、大臣がソーシャルメディアを使ってスタートアップや外資企業へ広く応募を促す様子は、世間に大きなインパクトを与えました。

2. 「まずは買って試す」シリコンバレー流のアプローチ

従来の日本の防衛調達では、厳密な仕様書を作成し、数年かけてカスタマイズ開発を行っていました。しかし、ドローン技術の進化スピードは早く、開発している間に技術が陳腐化してしまいます。

今回の「早期取得プログラム」では、既存の民間・市販テクノロジーから要件に合う機体をまず数十機規模で購入し(提案見積もりは10〜50機)、即座に自衛隊がフィールドテストを行って使えそうなら即量産する、という「アジャイル型(素早い検証と改善)」の取得手法が採用されています。

おわりに

自衛隊が直面する防空上の課題に対して、今回のような迎撃ドローンが防空ミサイル(パトリオットなど)に比べて極めて安価な防衛手段(コスト非対称性の解消)になることは間違いありません。

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